解析
分子動力学シミュレーションを実行しただけではなにも面白くない。計算結果を解析・評価して初めてシミュレーションを実行した意義が得られる。
ここでは非常に基本的な解析方法について、説明する。
それぞれの解析手法について、環境を整えれば実際に使用可能な簡単なスクリプトも並記した。これはあくまでサンプルであり、実際に運用する際には向いていないことがしばしばある。
各スクリプトの詳細については、Pythonのコードは各ライブラリ・パッケージのドキュメントや、Amber独自のものについては、AmberのManualにある各種説明が非常に役にたつ。
そのため、実際に研究を行う際には、以下のようなワークフローで実践することを推奨する。
- このドキュメントで概要をつかむ
- 自分の研究目的にあう解析手法を選択する1
- このドキュメントのサンプルを手がかりに、公式ドキュメントで使用方法を確認する。
Amberは特に、バージョン間で仕様や推奨方法が異なっていることが多く、これが解析結果にeffectiveであることも少なくない。自分がどのバージョンを使っているか確認し、同じバージョンのマニュアルを確認するようにしてほしい。
ただし近年はEDA(Exploratory Data Analysis)という、特徴が未知のデータから特徴を抜き出すために、有効そうな手法を網羅的に解析する方法も採られることが多くなってきた。言い換えれば闇雲な解析であり、あまり好まれるものではないかもしれないが、少なくとも情報科学の世界ではこの方法は常識になりつつある。バイオインフォマティクスの世界にもそのうちこの流れが到来し、積極的に取り入れられるのかもしれない。ただし、EDAの場合でも得られた解析結果を解釈するのは人間であるため、その手法がどういった現象を記述しているかを判断する能力は、依然求められ続ける。むしろ、EDAによって多種多様な解析を行うため、この能力の要求具合はより向上していると言えるかもしれない。